5年前のエントリーで軽蔑の舞台・マラパルテ邸を取上げたが、この「火のない暖炉」については書かなかった。domusによるAdalberto Libera e Villa Malaparteには平面図に室内透視図と写真も掲載されているが、軽蔑のワンシーンの様に暖炉がピクチャーウィンドウになっている事までは確認できない。リベラは初めから、この様に考えていたのか、途中で計画変更したのか不明だが、薪を置く場所は有るが、煙突らしきものは何処にも見当たらない。暖炉が南西に向いているので、冬至くらいには日没の太陽光が暖炉から差し込むかも知れない。軽蔑は1963年の作品、ゴダールは二年後の1965年に「気狂いピエロ」を発表している。「気狂いピエロ」のラストシーンでランボーの詩「永遠」が引用されているが、夕日を暖炉の火に見立てた...かも知れないマラパルテ邸から思いついたかは...不明。
と云うことでVectorWorksの太陽位置設定機能を用いて冬至の日没をザックリと検証。
マラパルテ邸の座標位置は北緯40度32分44秒東経14度15分37秒、北緯は日本の秋田と青森の県境くらい、VectorWorksのレイヤーにGoogleMapとマラパルテ邸の平面を貼付け、建物に直行する角度の時間を見ると午後2時10分、太陽高度は19.42°だ。冬至の日没は午後4時すぎくらいだろう。暖炉の向かい側にある彫刻は夕景の光に映えることだろうか。この居間は南側は寝室で塞がれ、日の出と日没を愉しむように東と西にピクチャーウィンドウが設えられている。尤も屋上には「ソラリウム」があるから...それが効果的なのだろう。