November 20, 2011

第三の男…

...と云ってもCarol Reed監督・George Orson Welles主演の映画のタイトルではない。Appleの第三の男と云われたMike Markkulaである。
ジョブズの生前に予約しておいた「Steve Jobs I・II」が店頭発売より遅れてAmazonから届いたこともあり、先を急がずじっくりと読むことにしたのだが、私にとって白本の「Steve Jobs I」は昔読んだ本だけでは未完のジグゾーパズルの欠けたピースを補填するもの、黒本の「Steve Jobs II」は私がMacと共にリアルタイムで体験していたことの舞台裏で、まさにApple版『Steve Jobs・噂の真相』である。まぁ...翻訳版に首を傾げる個所もあるが...色々と気になっていた人物もいたので、余り知られていないAppleの第三の男・Mike Markkula(マイク・マークラ)、彼の心眼がなければAppleの誕生が数年遅れていただろうし...Jobs復帰後のAppleも違っていたかも知れない。彼がAppleに残したものとは...

1977年、アップルを起業するにあたってジョブズに対しマークラが強調したことは『金儲けを目的に会社を興してはいけない。目標とすべきは、自分が信じる何かを生み出すこと、長続きする会社を作ること』...(う〜ん、これはドラッガーと共通しますね。)
そして1ページに纏められたマイク・マークラによる「アップルのマーケティング哲学」とは...

1:〈共感〉…「アップルは、他の企業よりも顧客のニーズを深く理解する。」...顧客の想いに寄り添うのだ。
2:〈フォーカス〉…「やると決めたことを上手に行なうためには、重要度の低い物事はすべて切らなければならない。」
3:〈印象〉…「人は、たしかに表紙で書籍を評価する。最高の製品、最高の品質、最高に便利なソフトウェアがあっても、それをいいかげんな形で提示すれば、いいかげんなものと思われてしまう。プロフェッショナルかつクリエイティブな形で提示できれば、評価してほしいと思う特性を人々に印象付けることができる。」
白本137頁・参照
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因みに...
〈共感〉はもちろんMacのコピー「The Computer For the Rest of Us」
〈フォーカス〉は製品セグメントの簡略化...
〈印象〉はパッケージデザインまで...行き届いたセンス
等々に...
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そしてジョブズが1985年にアップルを追放され、20年後の1997年にアップルに復帰してからのジョブズの最初の仕事は取締役会の改変だった。ジョブズを追放したスカリーがアップルを去った1993年に実務を離れていたマイク・マークラは会社の危機を救うべき会長に復帰していた。
父親の様に敬意を抱いているマイク・マークラに引導を渡すのは直接自分の仕事と心得ていたジョブズは自宅にマークラを訪ねた。一方のマークラもジョブズが復帰したことで此処が潮時と考えていたようだ。創業時の理念でもあった『....長続きする会社を作る....』についてマイク・マークラは「長続きする会社は自らを再発明するものだ。」とジョブズにアドバイスした。(それが4年後のiPodへと...)黒本61頁・参照
1998年5月6日のボンダイブルーのiMac発表会の最前列にはスティーブ・ウォズニアック、マイク・マークラとマイク・スコットとアップル創業時の三人が招待された。黒本110頁・参照
アップル第三の男と云われたマイク・マークラの助言はアップルの企業理念としてジョブズによって守り育てられ、次の世代に引き継がれことだろう。

Posted by S.Igarashi at November 20, 2011 10:29 AM