東京新聞夕刊二面に著作権の切れた名作が仮名遣い差別語等も当時のまま原文通りの表記で連載されている。そして、今週月曜からは菊池寛・『恩讐の彼方に』の連載だ。奇しくも TOKYO FM Podcasting・ききみみ名作文庫 でも『恩讐の彼方に』が取り上げられたばかりである。何故、この時勢に『恩讐の彼方に』なのだろうか。いま、社会を支配しようとする『報復へ向かう空気感』への危機感がそうさせるのだろうか。
青空文庫・恩讐の彼方に 尚、青空文庫を読みながらポッドキャストを聴くのがベスト。
実は「恩讐の彼方に」は小学生の餓鬼の頃、漫画で読んだ事があるだけでした。漫画家の名前も記憶に残っておらず、漫画のタイトルも「恩讐の彼方に」ではなく「青ノ洞門」とかなんとか別のタイトルでした。もしかすると菊池寛の原作ではなく耶馬渓に伝わる伝説を元に書かれた別のストーリーの漫画かも知れません。その漫画を見た親父かお袋が、これは菊池寛の「恩讐の彼方に」だと教えてくれましたが、アホ餓鬼だった私は作家の名も小説の題も直ぐに忘れてしまいました。ただ、九州大分の「青ノ洞門」を主題にした大作家がいた。それだけは脳に記憶として定着していました。ですから、大人になってから、大作家と菊池寛がリンクして、「恩讐の彼方に」を思いだすことができた次第です。もしかすると、この漫画を憶えていたのはストーリーよりも洞門に興味があったのか、餓鬼の頃から洞門フェチだったのかも知れません。いまでも正月の箱根駅伝中継で箱根湯本の函嶺洞門(かんれいどうもん)に選手が差しかかると、つい見入ってしまいます。
Posted by S.Igarashi at September 5, 2007 06:20 PM