December 19, 2006

中世の非人と遊女

中世の非人と遊女 網野 善彦 (著) 講談社学術文庫
周辺ブロガーの間で俄にプチ・ブームとなった吉原御免状であるが、そのプチ・ブームを起こした玉井さんはMyPlace: 吉原御免状の記事で網野史観との共通性を指摘している。「吉原御免状」を読み終わってから、そういえば網野善彦の「中世の非人と遊女」が積ん読のままだったことを思いだし、「吉原御免状」の続編「かくれさと苦界行」を読みつつ、「中世の非人と遊女」にも目を通しはじめた。どうも「吉原御免状」を読み始めた頃から僕の中で勝手に「網野善彦+白土三平=隆慶一郎」と云う妄想がふつふつと沸き始めている。さてその白土三平であるが、代表作の忍者武芸帖も友達に貸したまま、カムイ伝もカムイ外伝も今は手元にない。確か雑誌・ガロに連載された白土三平のカムイ伝を読み始めたのは高校生の頃だった。

その当時、高尾に1軒だけあった本屋・小沢書店には雑誌・ガロは置いてなく、月極めで取り寄せることになった。主人公が非人で、傀儡子が登場する漫画なんて、それまで読んだ事もなく、少年誌の漫画に飽きていた僕にとってそのプロットやテーマが事の他新鮮に思えた。歴史の表面からかき消された人々の存在は、中学一年の日本史の授業で教師の余談として士農工商の身分制度から外れた人々の存在を示唆されたが、それ以上の事は奥歯にモノの挟まったような教師の口から語られることはなく、どこか腑に落ちないままでいた。そうしたテーマに正面から向き合ったのが、分野は異なるが、白土三平であり、網野善彦であり、隆慶一郎なのであろう。とにかく、カムイ伝はもう一度読み直してみたい。

Posted by S.Igarashi at December 19, 2006 01:20 AM
コメント

家を建替えたときに保存しておいた状態で25年前の新聞紙に包まれた「カムイ伝一部二十巻」全巻が出てきました。

Posted by: iGa at December 24, 2006 08:35 AM

iGaさんの記事を読んで
カムイ伝 第一部の13巻から15巻を注文してしまいました。(^^;)

Posted by: fuRu at December 22, 2006 02:49 PM

komachiさん、玉井さん、どうもです、二三日留守にしてました。
やっぱり、「カムイ伝」を直ぐに読みには古本屋で探さないと無理ですかね。或いは小学館のカムイ伝全集―決定版が全巻揃うのを待つか何れかの選択肢でしょうね。
筆禍事件については記憶にありませんが、色々な出自に対する発言にはメディアも及び腰ですからあっても不思議ではないですね。
松岡正剛の千夜千冊『カムイ伝』白土三平を読んでいて隆慶一郎の名前が出てきたときは思わずニタリとしてしまいました。

Posted by: iGa at December 22, 2006 08:34 AM

そうでした、カムイ伝を忘れるわけにはいきませんね。ぼくは白??三平の出始めの頃に乗り損なって、いまひとつ没入できなかったことろがあり、通して読んだことがないのです。それだけに、通読したいとは思っている本でした。ためしに中野区と新宿区の図書館でインターネット検索してみましたが、「白??三平」も「カムイ伝」もゼロでした。新宿区立図書館で、ためしに手塚治虫と宮崎駿を検索してみると手塚治虫は237件宮崎駿が44件あります。漫画は自分で買ってくれよということもあるでしょうが、白??三平についての本もなさそうだとなると意図的に排除されているのかもしれませんね。デリケートな問題ではありますが、筆禍事件のようなできごとがありましたっけ。

Posted by: 玉井一匡 at December 20, 2006 07:22 AM

忍者武芸帳は小学校、カムイ伝は中学、読んだのはどちらも国立の本屋の店先でした。確かマルクスや資本論という本があることを知ったのも白戸三平からでした。カムイ伝、ぼくも読み直したいと思っていたところです。

Posted by: komachi at December 19, 2006 12:50 PM