新版・母は枯葉剤を浴びた/ダイオキシンの傷あと
中村悟郎・著、岩波現代文庫
著者である報道写真家・中村悟郎氏の名は先日9月26日の「視点・論点」を見るまで知らなかった。その前日のTBS/News23ではラオスのベトナム国境近くのいわゆるホーチミンルート周辺で不発弾処理に携っているJMAS(日本地雷処理を支援する会)の活動を特集していた。ベトナム戦争当時のラオスの人口一人当たり1トンの爆弾が落とされていると云う。改めてベトナム戦争の負の遺産について気になり、ネットで調べてから書店で購入した。枯葉剤の被害としては双子のベトちゃんドクちゃんの事が知られているが、中村氏は彼らの分離手術に報道写真家として立ち会った唯一の人である。本書は1983年に新潮文庫として刊行されたものだが、ベトナム戦争・終戦後30年を経た昨年、再びベトナムを訪れ取材した二つの章を新たに追加、83年版の各章に加筆修正を行ない、昨年末出版された。