図説・占領下の東京:河出書房新社・刊
昭和30年代、放課後の掃除当番をサボって箒を抱え、意味も知らずにプレスリーのG.I. Bluesを真似て"hup, two, three, four occupation G.I. Blues"なんて、がなりたてていた小学生がいたそうだが、そんなガキ共もリフレインの"occupation G.I. Blues"に占領の意味があることを知ったのは大人になってからだろう。表紙の写真を見ると第二次大戦後の敗戦国を占領した進駐軍G.I.のお気楽ぶりが伺える。8月3日の東京新聞朝刊の特集記事では「占領が変えた東京読み解く・都市政策専門家が米軍資料もとに」と紹介されているが、戦後のビッグ・プロジェクトでもあった東京オリンピックも米軍から占領地の返還が行われなかったら叶わぬことであったのだ。
東京人の9月号も何故か「占領下の東京」の特集である。こちらは半藤一利、井上ひさし、五百旗部真(いおきべ まこと)の鼎談「戦後日本の骨格作った7年間」が興味深い。1972年の日中国交回復の際、毛沢東も政敵である蒋介石の戦後処理の考え「以徳報怨(徳を以て、怨みに報いる)」を尊重しそれを引き継ぎ、「悪いのはA級戦犯である戦争指導者であって、徴兵された日本兵も中国人民と同様に被害者」のレトリックを以て中国人民の感情(心の問題)を静め外向的決着を図った訳である。小泉が「心の問題」と言うならば、彼ら中国人民の「心の問題」はどうなのかと云う事だろう。何れにせよ外交上の約束事を守れない国は他国から信頼されることはあり得ない。
kdoorie-ave さん、こんにちわ。
本音と建前を使い分け、他人への気配りも忘れずに、ぶれずにいられるのが大人なのでしょうね。
私の中学三年の時の担任代行の教師Aがノモンハン事変の陸軍将校で、度々自慢気に戦争の話をするのですが、これが歴史的事実を歪曲するだけでなく、ロシア人や中国人に対する差別語やロシア女性に対するセクハラ的発言のオンパレードで聞くに耐えない内容でした。こんな人物がよく教育者でいられるという、正に反面教師そのもの。何年か前に半藤一利の「ノモンハンの夏」を読んでみて、改めてその感を強くしたものです。
私たちが祖父母や両親から戦時中の話を聞いているように、当然私の中華圏の友達たちも当時の思い出を聞いて育っているわけで。日本への印象は、日本についてどんな歴史教育を受けてきたかより、身内の身に起きたことや、自分が見聞きしたことほうが大きいようです。
身内の辛い思い出は胸にしまって、わずかでも日本に批判的なニュースがあると「見なくていいよ」と気を遣ってくれるので、こちらはなんとも居心地が悪いです。
私の友人たちが親日家で、皆が皆日本に好意的人ばかりじゃないとわかっていても、日本の態度はドラえもんで言うと「スネ夫」みたいでイヤだなあと思うのです。どれほど「器が大きいか」で人の価値を判断する(特に中華圏の)友人たちは「裏と表」を上手に使い分けて、堂々と交渉するのをよしとするのだけど。