国内に於けるエレヴェータの死亡事故は1984年8月に横浜のスーパーで起きた事故以来のことです。その事故を起こしたエレヴェータはF社の低層建物用の油圧エレヴェータでした。その後、仕事の関係で業界の事故調査委員会に参加したと云うM社の方に話しを伺ったことがありました。事故原因は特定できていませんが、剥き出しの基盤に金属片の落下物が付着して誤作動したと云う説が有力でした。その事故以降は落下物による基盤の保護は義務付けられている筈です。昔から、エレヴェータの現場納入価格は設計価格の半値八掛けが当たり前と云われているくらい競争の激しい業界です。そこに新規参入した「シンドラーのリフト」は低価格で市場を開拓していったようですが、超高層住宅とエレヴェータの高速化の影で優先されるべき安全性が蔑ろにされました。これも経済性が最優先される社会故に起きた事でしょう。何か暴走するコンピュータが支配する近未来社会を暗示する事件のような気もします。
Posted by S.Igarashi at June 7, 2006 07:05 PM