マサさんは母の妹、つまり私の叔母であるが、若くして結核で他界したので、母が語る昔話のマサさんの事しか知らない。この写真はマサさんが外務省に務めているとき、日本の働く婦人として米国の通信社の求めに応じて写したものだそうだ。もしかすると同じものが米国の通信社か新聞社に残っているかも知れない。
70年前の昭和11年の2月26日、勤め先の外務省から、マサさんは緊急事態で帰れなくなったとの電話が入り、当時の外務大臣・廣田弘毅をはじめとして職員共々、省内に缶詰めになり一昼夜を過ごしたそうだ。と云うことは2.26事件は未明に決起されている訳だが、その朝は外務省に出勤できたことになる。外務省が襲撃の対象となっていなかったのが幸いしたのだろう。それにしても女学校を出たばかりの娘の身を案じて祖父は気が気ではなかったらしく、こんな事になるなら勤めになど出すんじゃなかったとその日は一日悔やんでいたそうだ。それでも何事もなく翌日には公用車で無事に送られて帰ってきたそうである。
もしも、マサさんが結核に冒されず生きていたら当時の話を詳細に亘って聞けたと思うと実に残念である。まさに10年早くパス(結核の特効薬)ができていたらと思うのである。
iGaさん コメント修正ありがとうございました。書くときには、全部が同じネタをとりあげるのに、書かないとなればみんな書かない日本のマスコミの情ない性は、スポーツ新聞もテレビも同じ。
シャッタースピードもおそかっただろうに、いい表情をとらえた写真で、もちろん別の時の写真だから当たり前なのだけれど、2.26の緊迫と対比されておもしろいな、と感じたときに、そういえばchinchikopapaのはなしもあったなと、生きのいい昭和初期の女の人をもうひとり思い出したのでした。
なんだか、昨日から何度もマサさんのお顔を拝見していると、なんとなく写真からお人柄が伝わってくるようなきがします。なんだか、チャーミングな方です〜(*^0^*)。当然、大正のお生まれですよね。まったく2.26と関係ない話しですみません。
Posted by: わきた・けんいち at February 28, 2006 03:29 AMChinchiko Papalogに、お祖母さまの痛快な226体験「邪魔するんじゃないよ、どきな!」が書かれていたとおもいだして開いてみたら
http://blog.so-net.ne.jp/chinchiko/2005-01-24
ことしも226のことがたっぷり書かれています。
http://blog.so-net.ne.jp/chinchiko/2006-02-25
昨日の新聞とテレビ欄を読み返してみても、どこにも「2.26事件」に関する記述がありませんでした。70年も経つと既に当事者や目撃した人も少なくなり、風化していると云うよりも「2.26事件」があったという事実さえも幻影であるかのように思えます。昨年暮れに母は満90歳ですから、叔母は事件当日まだ18歳くらいだった筈ですが、タイピスト(死語)だったので、高官や大臣と接触する場もあったようで、事件当日も大臣から直接、心配しなくてもよいからと、励まされたようです。その外務大臣・廣田弘毅はその後、首相となり戦後は文民唯一のA級戦犯として処刑されています。
Posted by: iGa at February 27, 2006 10:45 AM今日は2・26の日ですね
若い友人に聞いてみたら911の親戚かなんて返答でした
身内の方に生の話があると、教科書の記号ではなく当時実際に有った事として実感できそうですね
当時、早朝の間には民間には情報が行き渡っていなかったようです
写真家の桑原甲子雄氏のスナップに皇居の周りをうろつく兵士を撮ったものが有りますが、兵隊さんを見るまで何時もの朝の光景だったそうです
今日は26日でしたね。2.26事件というと、私などは、教科書や書物で書かれた「大文字の歴史」としての事件しか知らないのですが、当時、東京に住んでいた皆さんにとっては、それぞれの固有の経験として2.26事件があったわけですね。そのような固有の経験をされた方かがお身内にいらっしゃると、「大文字の歴史」も違ってみえてくるでしょう。すでにお読みかもしれませんが、たまたま『Chinchiko Papalog』さんのところのエントリーも、2.26事件でした。今日のエントリーからは、ちょうど1年前のエントリー「邪魔するんじゃないよ、どきな!」にリンクされていました。そこでは、ChinchikoPapaさんのお父さんとお祖母さんによる2.26事件当日のびっくりするようなお話しが展開されています。そしてChinchikoPapaさんは、「祖母の粋な和服姿の写真を見るにつけ、わたしはつくづく、ひと目でもこの女性に逢いたかったと思う 」とお書きになっていました。少し違うかもしれませんが、iGaさんのマサさんに対するお気持ちと似ているのかなと思っています。
Posted by: わきた・けんいち at February 26, 2006 09:51 PM