土曜日の夕方、TV番組表に「美の巨人たち:アメリカの夢・絶景、エコロジー住宅」の文字を見つけた。内容は不明だが取り敢ずビデオ録画を予約しておいた。夜中、録画しておいたビデオを再生するとチャールズ・ムーア他「シーランチ」(前編)だった。ナレーションは「今日紹介する建築は、あまり有名なものでも、著名な建築家のものでもありません。」と伝えていた。60年代後半から70年代の建築デザインの潮流を知っている者にとって、チャールズ・ムーアは紛れもなく時代の寵児だったが、それから40年余りを経た今日の一般的認識はそんなものだろう。番組はシーランチの実現に携った3人にスポットを当て構成され、前編を主にデベロッパーのアル・ボーキーとランドスケープ・デザイナーのローレンス・ハルプリンに、後編を主に建築家のチャールズ・ムーアに焦点をあてるようだ。アル・ボーキーから計画を依頼されたハルプリンは1962年から一年間に亘って敷地を分析調査し、この土地で行なっても良いこと、行なってはならない、イエス/ノーをレポートに纏めた。左上図のプロセス・アーキテクチャー4号(1978年2月発行)ローレンス・ハルプリン特集によれば、ハルプリンの事務所が全体のコミュニティ計画を引き受け、その建物の設計者として、ハルプリンの計画主旨に共鳴したムーア/ターンブル事務所と契約したとある。
ハルプリンの土地利用計画は生態学的理論を基にしており、自然のたたずまいをそこなうことなく、人々がそこで生活できる方法を開発している。生態学的レベルで敷地分析を行なうことで、ハルプリンのデザインは自然本来の姿を反映するものとなった。つまり結果として、人々は自然の力を重複するのと同じように、出来上がった環境も重視する。有機的な方法で、建物と環境とを関連付けるというハルプリンの設計手法は彼の生活の基本理論でもある、、、、斯くして、自然環境の一部となった"Sea Ranch Condominium"は出来上がった。 この頃、アノニマス(anonymous)やヴァナキュラー(vernacular)と云う言葉が建築を理解する一つのキーワードであった。建築デザイン的にはヴァナキュラーは土着的なとか自然発生的な土地独特の建築様式を意味するが、松岡正剛の千夜千冊『シャドウ・ワーク』 にはイヴァン・イリイチによる経済学的なヴァナキュラーの解釈があり、こちらも参考になる。 尚、テレビ東京ではチャールズ・ムーア他「シーランチ」(前編)に引き続き、次週11月19日午後10時から後編が放送される。 Posted by S.Igarashi at November 14, 2005 01:43 AM
わきたさん、ごめんなさい。
スパム・トラックバック対策で2バイトコードだけ受け付けないプラグインを入れてから、何かが壊れたようで、プラグインを外したり、トラックバックのスクリプト書類をまっさらなものに変えても直らなく、そのままです。
iGaさん、おはようございます。玉井さんの『MyPlace』の昨日のエントリーと関連して、拙Blogで、こちらのエントリーのことを追記で触れさせていただきました。推測ですが、スパム・トラックバック対策のためでしょうか、TB機能を停止されているご様子なので、コメントでお知らせすることにいたしました。よろしくお願いいたします。
Posted by: わきた・けんいち at December 17, 2005 09:13 AM一回目は新聞のテレビ欄で見つけて気になっていたのですが
まさかシーランチだったとは。
二回目は是非見よう。
でも、ムーアがそうならハルプリンなんて・・・、ですね。
制作者の思い上がりでしょうね。イェール大学でムーアの薫陶を受けた石井和紘氏のインタビューもあったけれど、彼も放送を見て、きっと呆れたでしょうね。
Posted by: iGa at November 16, 2005 11:38 AMこの番組、知りませんでした。残念。しかし、驚きましたね。ムーアについてそんな認識になっていたということなのか、制作者が不勉強なのか。後編は、ぜひ見ようと思います。
Posted by: 玉井一匡 at November 16, 2005 08:20 AM「シーランチ」を「今日紹介する建築は、あまり有名なものでも、著名な建築家のものでもありません。」とは、なんとも情けないもんでありますね。
その辺りの現代建築史を理解した人がちゃんと監修していないといけませんですね。
わ、思い出しました。Tamさんから借りっぱなしのGAがあるのを。
Posted by: いのうえ at November 13, 2005 06:56 PM