July 14, 2005

Super Nova

久しぶりにWayne Shorterの"Super Nova"をLPで聴いた。録音の日付が1969年8月29日と9月2日となっているからマイルスの"Bitches Brew"のレコーディングに参加した直後のリーダーアルバムである。ウェイン・ショーターは翌年の3月にマイルスのバンドを辞め、8月にリーダーアルバム"Odyssey of ISKA"をユナイテッドアーチストに残し、ジョー・ザヴィヌルらとウェザーリポートを結成する訳である。ウェザーリポート以降のウェイン・ショーターは、どこかジョー・ザヴィヌルに支配されているようであり、グループサウンドに配慮してか、遠慮がちにプレイしているようで私には物足りなく聴こえてならない。そんなウェザーリポートとマイルス・バンドとの狭間に位置する"Super Nova"ではウェイン・ショーターは実に伸びやかに気持ち良くソプラノサックスを演奏している。尚、"Super Nova"の廉価盤CDが来年の3月にブルーノート決定盤1500シリーズからリリースされるので当分の間はCDの購入はお預けである。他にもウェイン・ショーターがブルーノートに残したアルバムが決定盤1500シリーズで年末から逐次リリースされるようだ。

因みに"Super Nova"とは【超新星】を意味する。

星の進化の最終段階における大規模な爆発現象。一つの銀河に匹敵するほど明るくなることもある。大質量星が自らの重力を支えきれずに崩壊し爆発を起す場合には、あとに中性子星かブラック?ホールが残される。(広辞苑第五版)

LP盤のライナーノートで岩浪洋三氏が"Super Nova"を「スーパー・ニュー」と云う意味だと書いていたのには明らかに勉強不足。原盤の英文ライナーノートの冒頭に【超新星】について解説してあるのにね、きっとテープと簡単な資料だけで国内版のライナーノートを書いたのかもね。但し岩浪洋三氏が"bossa nova"(新しい感覚)に"Super Nova"が掛けられていると見抜いたのは当たっているだろう。LP盤の6曲のうち1曲を除いて全てウェイン・ショーターのオリジナルである。オリジナルでない1曲だけ、アントニオ・カルロス・ジョビンの"DINDI"が納められている。これが"Super Bossa Nova"なのであろう。それとB面最初の"Water Babies"はウェイン・ショーターがマイルス・バンドに残した曲でもある。マイルス・バンドでのレコーディングは1968年だがマイルスのLPとしてリリースされたのは70年代半ばであった。
と云うことで"Super Nova"で自爆したウェイン・ショーターは中性子星になったのか、或いはブラックホールになったのだろうか。それとも"Nova"(新星)が誕生したのだろうか。

Posted by S.Igarashi at July 14, 2005 10:08 AM