February 04, 2005

TWILIGHT

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TWILIGHTは三つの漢詩を主題にした高橋悠治と富樫雅彦によるコラボレーション・アルバムである。録音は1976年6月9日〜10日となっている。A面が富樫雅彦の提示したルールとモチーフによる即興演奏、B面が高橋悠治の提示したルールとモチーフによる即興演奏となっている。アルバムタイトルのTWILIGHTはホーチミンの漢詩「黄昏」にインスパイアーされたものである。

黄昏
風如利剣磨山石、寒似尖鋒刺樹枝
遠寺鐘声催客歩、牧童吹笛牛引帰

風の鋭い剣(つるぎ)は山肌をみがき
寒さのとがった鋒(きっさき)は木の枝を刺す
遠い寺の鐘の音に旅人は足をはやめ
牧童は笛を吹き牛をつれ帰る
ホー・チ・ミン


A面の「半明」は高橋悠治と富樫雅彦によるピアノとパーカッションの緊張感溢れるインタープレイはピアノが打楽器の仲間であることを再認識させられる。激しいインプロビゼーションの中からメランコリックなメロディーラインが浮かび上がってくる。
B面の「黄昏」は高橋悠治と坂本龍一の口琴(マウスハープ)と富樫雅彦のハンドドラム、豊住芳三郎の竹筒の演奏から始まる。次に高橋悠治と坂本龍一のシンセサイザーによるインプロビゼーションと富樫雅彦と豊住芳三郎のパーカッションが高橋ゆうじJrのシンセサイザーによる通奏低音の上で繰り広げられる。日が昇り、日が沈み、人は生まれ、人は死に、それを見守る東亜細亜の悠久の自然、ホーチミンが帝国主義の支配から守りたかったものは太古から続く人々の営みだったのだろう。
CD版のトゥワイライトはこのLPに高橋悠治・佐藤允彦のコラボレーション・アルバム「サマルカンド」を収録したもののようであるが、Amazonでは在庫切れ(絶版?)となっている。音源はPCM(パルス・コード・モジュレーション)録音、つまりデジタル録音である。しかし、アナログLPでは音源がデジタル録音でも冬場は静電気によるホコリでスクラッチノイズに悩まされる。
LP版ライナーノーツの左下の写真に坂本龍一がいる。中央線沿線のジャズクラブで時折演奏していた頃の長髪に無精ヒゲの姿、YMO時代の刈上げヘァーしか知らない人には別人にしかみえない。坂本龍一の参加は、高橋悠治の弟子だから。というか、高橋悠治からクセナキスの音楽理論を学ぶために坂本龍一が勝手に押し掛けて教えを乞うたらしいが。

Posted by S.Igarashi at February 4, 2005 05:15 PM
コメント

日曜美術館アートシーンの「フルクサス展」は見ましたが、浦和にはまだ行ってません。開館時間も8時まで、土曜日は無料なんですね。
むかぁ〜し、美術手帳で見たくらいで、ベン・パターソンも知りませんでした。小杉武久は70年代にタージマハール旅行団で活動していたので、そこから派生した情報で一柳慧、オノ・ヨーコとN.Y.で活動したとか知ってるくらい、殆ど無知です。

Posted by: S.Igarashi at February 9, 2005 09:02 AM

最近知ったことなのですが、高橋悠治さんはニューヨク時代にフルクサスのベン・パターソンのマネージャーをしていたそうですね。

開催中の「フルクサス展」には行かれましたか?
12日には最後の関連イベントがあります。

http://www.uam.urawa.saitama.jp/news.htm

Posted by: T.Takahashi at February 8, 2005 01:50 PM

豊住芳三郎は芸大在学中から富樫雅彦のボーヤをしながら学んでいたとか、昔は美少年で恰好良かった。

Posted by: S.Igarashi at February 7, 2005 09:58 AM

豊住芳三郎は吉祥寺の曼陀羅で聴いたことがあります。やはり有名な人だったんですね。(何も知らないで聴いていた・・・爆)

Posted by: fuRu at February 7, 2005 09:02 AM