先日TIMEDOMAIN に行く途中で表参道に完成した建築家・伊東豊雄氏の新作を外から眺めた。同じ表参道に建つ、弟子の作品より遥かに完成度が高く、師匠の面目躍如である。
写真は南側隣地に面した壁面である。法規的にはこれらの窓は採光の条件を満たすものではないだろうが、南側隣地の用途地域や前面道路等の条件を考えると、これらの窓が塞がれる心配も当分のあいだなさそうである。その上、隣地に面した南側窓の方が非常用進入口等の設置義務もなく、形態的にも純粋性が保たれている。デザインの大胆さと緻密なディテールとストイックなまでのマテリアルの使用で均衡が保たれている建物だ、エッジの扱いが見事。しかし、そう思って建物を見上げる人は物好きだけで、多くの人は建築の意匠に気付かぬまま、ショーウィンドウのディスプレイを眺めるか、うつむきかげんで足早に通り過ぎるだけである。
追記:masaさんのBlog"Kai-Wai 散策"のエントリー"谷中の石碑と青山のビル"を見るとこの建築デザインの秘密が解明されます。(2005.02.26)
表参道に面する壁面には非常用進入口等が設けられているが、それらも上手く処理されている。
新しい建築が建つと、以前ここに何が在ったのか直ぐには思い出せなくなる。確かここには80年代に行列ができる程に流行ったカフェバーが建っていた。鉄骨平屋波形スレートの外観が当時の商業建築の常識からみると異彩を放っていたということだろう。
TOD'Sビルと同様にケヤキを建築外被のデザインモチーフとした、伊東豊雄氏による武蔵境駅前のプロポーザル・コンペの応募案が武蔵野市企画調整室のサイトにあります。
武蔵境新公共施設設計プロポーザル
iGaさんの解説を期待しているかのような(事実、期待はしていたのですが(^^;)URL貼り付けに、丁寧な説明や情報をいただき、大変恐縮しています。ほんとうにありがとうございました。
しかし、妙なことからビルや建築家への興味が湧いたりするものです。ケヤキにつきましては、僕も、高校時代は清瀬の病院のなかに住み、江古田に通っていましたので、イメージ納得です。
masaさん、コメント有り難うございます。
谷中の石碑の写真は必見ですね。
TOD'S表参道ビルもプラダビルも外被を構造体にし、内部には構造的な柱をなくす等、似たような考え方だと思いますね。違いはプラダビルが鉄骨、TOD'Sがコンクリート打ち放し、マテリアルとデザインモチーフの違いですね。それにどちらも免震構造となっていて、基礎と建物本体とがダンパーを介して切り離されています。
多くのブランドビルがダブルスキンとか建物の表層を主体としたパッケージデザインに終始しているのに対して、この二つのビルは構造的にもトライアルなデザインと云えます。もちろんコンピュータによる構造解析が可能になったから成立したデザインですよね。
GA-72号で設計者の伊東豊雄はこう語っています。
「資本に犯されつつある現代建築の際どい状況をしっかり認識しないと、表層を巧みに操る建築ばかりで日本は埋まってしまうのではないでしょうか。」
外被に構造体を表わしたのは簡単に消費されないぞ、という建築家の心意気かも知れません。
伊東豊雄氏は武蔵境新公共施設設計プロポーザルの応募案でもケヤキをスケルトンのデザインモチーフにしていますが、私も高校の三年間、武蔵境駅を利用していましたので、このイメージはよく解ります。私も武蔵野のイメージはケヤキと青い空です。
iGaさん
今日、僕の拙サイトで、このビルに触れましたので、エントリー中、iGaさんのこの記事を、参照記事としてURL記載させていただきました。よろしくお願いいたします。