May 28, 2004

空に浮かぶ浜辺

修学院離宮・上離宮(上の茶屋)の浴龍池に架かる土橋から見た西浜。
自然な風景に見えるが意志を持って人工的に修景されたものである。修学院離宮・上離宮は地形を生かし借景を取り込み雄大で気持ちの良い眺めを作り上げている。

近ごろ、意味を理解せず「借景」を連発するタレントがいるが、とても耳障りで聴くに堪えない。
【借景】:庭園外の遠山や樹木をその庭のものであるかのように利用してあること。また、そのような造園法。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
広辞苑に書いてあるように【借景】はそれを取り込む庭園があって初めて成り立つ技法である。窓やベランダからの眺めは唯の景色であって、それは借景ではない。修学院離宮を見ずして「借景」を語るなかれである。

写真左:各離宮を結ぶ松並木からみた上離宮の大刈込、この向こうに浴龍池がある。
写真右:上離宮の浴龍池から隣雲亭を見上げる。冬場は渇水期なのか池の水が少なかった。(1977)
修学院離宮配置図
宮内庁参観案内:施設情報:修学院離宮修学院離宮の案内ビデオもある。

仙洞御所・桂離宮・修学院離宮等の見学は宮内庁の参観案内を参照。
今年度からインターネットから参観申し込みができるようになった。
宮内庁オンライン参観申込
昔、岡本太郎が竜安寺の石庭について語った文章を読んだことがある。岡本太郎の考察によれば竜安寺の石庭は遠景の山並みと中景の松林を借景とし、近景の枯山水と一体化することで成立している庭であって。従って現在のように遠景が見えなくなってしまった竜安寺の石庭は本来の姿には程遠いと述べていたと記憶している。その意味でも修学院離宮は創建当時の姿をほぼそのまま伝える貴重な遺産である。

Posted by S.Igarashi at May 28, 2004 09:15 AM | トラックバック
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