今日(2004年2月14日)の東京新聞朝刊に「フランス寓話が問いかけるもの」というタイトルで「Matin Brun(茶色の朝)」が紹介されていた。茶色はファシズムの象徴、「ファシズムの危険は市民の事なかれ主義に潜む」とある。
ベンヤミンによれば、ファシズムの美学は「偽りの古典主義的調和、有機的全体主義、社会的矛盾の虚位の妥協と統合」であるとする。これは明治政府が確立した国体思想にそのまま当て嵌めることができる。大東亜戦争の敗北を軍部と軍国主義者の暴走と責任転嫁する考えもあるようだが、尊王攘夷思想を核とした明治維新以降の日本の近代化はファシズムへの道を歩むことを始めから余儀なくさせられていたのである。