確か19か20歳の頃にMiles Davisの【MILESTONES】に初めて出会った、とは云っても、これが最初に聴いたジャズと云う訳ではない。高校生の時、その頃流行ったデーブ・ブルーベックのテイク・ファイヴのドーナツ盤を聴いたりもしたが、世間一般の軽音楽と云う括り方以上の感慨を持つに至らず、そのまま聞き流していた。【MILESTONES】も自ら積極的に聴こうとした訳でなく、僕が買ったカセットレコーダーに兄がLPからダビングしたものだった。初めは唯喧しい音楽だと思っていたジャズだったが、聴き込んでいるうちに、その面白さが分かり、楽器の一つ一つのフレーズを聴き分けられるようになっていった。
その最初のレコードが【MILESTONES】と云うのも因縁染みている。もちろんこのタイトルはMilesの音【MILES-TONES】を一里塚の【MILE-STONES】に掛けたものである。僕にとってもこのアルバムは【MILESTONES】なのである。このアルバムをきっかけに新宿・渋谷のジャズ喫茶を徘徊するようになっていったのだ。
因みにレコーディングは1958年の2月4日と3月4日。
パーソネルはマイルス・ディビスの他、ジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイ、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズといった、淙々たるメンバーである。