東京新聞11月9日朝刊・特報「働く警察官は損!?」を読んで、昔あった事を思い出した。
20年程前、表参道で財布を拾った。場所は今のルイ・ヴィトンあたり、財布はワインレッドのカルチェ、一万円札が入っているのが見えた。面倒なもの拾ってしまったと、財布を手に持ったまま、歩道橋を渡り、表参道の交番に届けた。交番に警察官の姿は見えなかったが、奥から夕食の店屋物を何にするか相談する声が聞こえてきた。「すみませぇ〜ん!」と声を掛けると、奥から若い警察官が面倒臭そうに出てきた。警察官に向かって財布を差し出し「いま、向こうで財布を拾いました。」と届けた。
すると、その警察官は僕に向かって「放棄しますか」と言った。「えっ?」と聞き返すと、再び 「財布の拾得者の権利を放棄しますか」と尋ねてきた。僕はムッとして「放棄しません。」と答えた。
警察官は不承不承に書類を取り出し、拾得者(僕のことね)の立ち会いの元、財布とその中身を確認し、書類を作りだした。財布の中身は一万円札が二枚と、小銭が少々、持ち主を特定するものは何も入っていなかった。警察官から書類を受け取り原宿駅までの道のり、もしも僕が財布の権利を放棄したら、彼ら警察官はそれをどうするのだろう、それを想像すると暗澹たる思いにさせられた。
後記:結局、落とし主は現れず、その半年後、飯田橋の遺失物保管所に出向き、拾得者の権利を行使して財布を受け取ったことは言うまでもありません。この財布を拾う半年から一年前くらいに、僕も二万円程入った財布を落としたことがありまして。それも、交番に届けたけれど、、、出てこなかった。だから、拾ったこの二万円は、無くしたものが戻ってきた。そんな感じでしたね。で、その使い道はと云えば、仕事仲間に昼飯を表参道は佐阿徳の鰻重を奢らされた。「そーゆーお金は独り占めすると罰が当たるからね。」と脅され、不承不承に、、。
Posted by S.Igarashi at November 9, 2003 10:57 AM | トラックバック