好きな漫画家は、杉浦茂、谷岡ヤスジ、山上たつひこ、この三人だけ、何れもギャグ漫画に分類されている作家だ。二人は既に他界し、山上たつひこも漫画家を廃業しているから、もう新作を見ることは不可能なので、自ずと漫画の世界には疎くなっている。
復刻版の猿飛佐助(ペップ出版)カバー(左)と表紙(右)
物心ついた頃に既に「冒険王」「少年」「少年画報」「おもしろブック」等の少年向け月間漫画雑誌が家にある環境で育ち、小学生になる前に文字を覚えたのは漫画を読むためだった。なかでも「おもしろブック」に連載された荒唐無稽かつシュールな「杉浦茂の猿飛佐助」は何度も繰り返して読んだ漫画だった。子供の頃は遊びと現実とが未分化のまま、目眩く世界を僕らは生きていた。杉浦茂の漫画は正にその世界そのもの、あり得ない事こそが想像力を育てる栄養源だった。
赤塚不二雄の「レレレのおじさん」や「つながり目玉のおまわりさん」は杉浦茂のキャラクターの影響だし、楳図かずおのグワッシュの手形サインもそのオリジナルは杉浦茂なのだ。