Dexter Gordon (デクスター・ゴードン)の"GO"を初めて聴いたのは70年代、渋谷の道玄坂小路の台湾料理店・麗郷の向かいにあったJazz喫茶ジニアス(GENIUS)だった。
その時、偶然、僕が聴いたのはB面のLOVE FOR SALEだったと記憶している。スピーカーはJBLの4000番シリーズではなかっただろうか、その頃のJazz喫茶はJBLかアルティックのスピーカーの何れかだった。それでアンプがマッキントッシュが定番。そう、AppleがMacを作る遥か前にはマッキントッシュは憧れのオーディオアンプのブランドだった。スペルはMcIntoshで"i"が大文字である。またまた商標問題でAppleとApple(レコード)が揉めているけれど、McIntoshもそうだった。既に80年代に金銭的解決をしているが古いカタログにはMacintoshはMcIntosh Laboratoryから商標認可を受けていると書いてあった。
話がそれたが、Jazz喫茶でも頑固おやじがマスターの店はアルティックのA7が主役、店主が若い世代の場合はJBLが通り相場だった。
マイルスやコルトレーンばかり聴いていたその頃の僕にはDexter Gordon は良く言えば外連味のない、不器用なサックス奏者くらいの認識だった。その時の精神状態・体調によるものか、JBLのスピーカーによるものなのか"GO"のDexter Gordonのプレイは僕の彼に対する認識を覆すものだった。いや、認識は変らない、不器用で外連味のない演奏が僕の耳に心地よく聴こえたのだった。