改めて当時の映画パンフレットを読み返してみて、音楽を担当したミキス・テオドラキスはギリシャの軍事政権によって投獄・死刑宣告(その後釈放)された経歴の持ち主と知った。コルビジェのアトリエにいたクセナキスと年齢的にも近い。クセナキスはナチがギリシャから去った跡にギリシャを占領したイギリス軍によって死刑宣告された経歴をもっていたが、この映画音楽を担当した作曲家も同じだったとは知らなかった。正に現代史のまっただ中に置かれた人々が作りあげた映画だった。
そういえば昨年、キャサリン・ヘップバーンが亡くなったけれど、この映画を観るまでは「旅情」のハイミスのようなイメージしかもっていなかったけれど、このヘカベ役の演技を見てハリウッド女優の枠にはめてはいけない人だと思った。
「トロイァの女」がそういう映画だったとは知らなかった。つたやで借りてきます。戦争をなくすには、そういう視点が欠かせない。
09.11の出来事の中から、ボスニアの空爆で殺された人たちのことに共感し、9.11で飛び込んだ「テロリスト」にも、かれらの氏を悲しむ人たちがいたにちがいないと考えることが必要だ。
逆に言えば、戦争を続けるには、「トロイ」の視点が欠かせない。