そうですね。松本清張になると、背景に戦後の国家的戦略ていうか陰謀策略が通奏低音のように流れているのかな。
僕の周囲にも10万人が亡くなった東京大空襲を体験しPTSDになった人が親戚や知人にいましたね。幸いにも問題行動を起すまで重症ではありませんでしたが...家族は辛かったと思います。
三代目・金馬の与太郎噺に「精神薄弱児っていうと何だか偉そうに聴こえる。」なんて台詞がありますが、今の自主規制ばかりのテレビ・ラジヲでは放送しないだろうな。
横溝正史のグロテスク推理ものの筋書きの典型は昭和20-30年代の猟奇的事件の遠因を探ってゆくと、関東大震災から日中戦争に掛けて地方の旧家が崩壊したところにたどり着く、というものが多いようです。狂人、それも先天的な障害というのでなく発狂者というのも良く出てきます。
ヴェトナム戦争・湾岸戦争・イラク戦争でも多数のPTSDが出ているようですが、沖縄で南風原陸軍病院が地下壕へ疎開する前の配置図を見たら、2/3程が精神科病棟なっており、なるほどと思わされました。暗い時代は戦争だけでなく、それに先立つ関東大震災でも死者・不明者15万人の陰に、それを上回る重度・軽度のPTSDを生み出しているのではないかと想像します。バブル期を思わせる関東大震災前の東京から始まり、震災復興の流れに乗って拡がろうとした「モダン東京」の流れの裏側、建築史の教科書に載るのが監獄の建物といった、考えてみると不思議な時代の匂いが、横溝正史のグロテスクさのカラクリであるように思えます。「大日本精神薄弱者協会」という障害者団体が、当局に呼びつけられて「大日本精神」が「薄弱」なのは怪しからん、とお目玉を頂戴する珍事もあったそうです。
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