Comment: ロシア 闇と魂の国家

第一章の「甘い腐臭」など書斎に根を下ろしている商業的知識人からは生まれない。実際に彼の地で生活していた二人の話はリアリティがあり、ディテールが面白い。

「知もてロシアは解し得ず/ひたぶるに信じるのみ」
というのはロシアの詩人の言葉...だそう...ですが、
何を信じるのか...ロシア人以外は...解し得ず...なのか...

日本人のロシア・コンプレックスも根が深いものがありますね。
1915年生まれの母の世代は生まれる10年前の日露戦争の戦勝気分で作られロシアや中国を揶揄した尻取り歌を刷り込まれているから、なんだかんだいって差別意識は死ぬまで残っていた。「→ロシヤ→野蛮国→」の部分だけは聞き齧りを覚えていたので、その戯れ歌をネットで調べたら...

日本の→乃木さんが→凱旋す→すずめ→めじろ→ロシヤ→野蛮国→クロパトキン→金の玉→まーけて逃げるはチャンチャン坊→棒で叩くは犬殺し→シベリア鉄道長けれど→土瓶の口から吐き出せば→バルチク艦隊全滅す→

ノモンハン事変を生き延びた中学の国語教師は、授業中にロスケとかチャンコロとか平気で差別的な言葉を使って、戦争の自慢話をしていた。多くの死傷者を出して、実質的に負け戦のノモンハン事変を勝ち戦の如く語るその教師は、ガキの時分から差別意識を刷り込まれていたんだろうな。イスラエルや、イスラエルと国境を接している国も、似たような戯れ歌で敵国意識を子供に刷り込んでいるようで、古今東西、為政者による子供を巻き込むプロパガンダは何処も似たようなもの。なんていうかプロパガンダの連鎖ですな。

Posted by iGa at June 20, 2008 11:29 AM

知識人は上位構造を云々するのがお好きだが、あの國はやはり経済基盤が農奴制から抜けきっていないのではないだろうか。最近出て来ている「一兵士のシベリア抑留記」なんてのを読むとそんな気がする。

「おじさんおこずかいちょーだい。」という娘どもがロシアの伝統をしっかり受け継いでいるのではなかろうか。フィリピン娘の方はスペイン・アメリカによる500年来の植民地教育のたまものだが。

農奴制経済から抜けきっていない後進国が一発大逆転で西欧に追いつき、追い越せ、という為に採用したカラクリが共産主義であった様な、
それにスッポリはまってしまった戦後左翼知識人というのも実は文明開化の続きだったりして。

Posted by Fumanchu at June 19, 2008 08:45 PM