じんた堂 さん、どうもです。
僕も荷風は「ふらんす物語」を読んだだけですが、既に揮発性メモリーからその情報は失われているようです。(^_^;)
Earthdiving的に「すみだ川」で面白いと思ったのは、今戸に住む長吉が伯父と別れて本所辺りを歩いている風景描写で湿地帯を強調している処ででした。その辺りと比較すると浅草は待乳山も控え、デルタ地帯の中の高台だったんですね。
小学二年で山里に越して以来、すっかり高尾の山猿と化してますが、同世代でも練馬や中野で育った友達はそんな体験してないようですから、訳の解らない子供を芝居に連れてゆくなんてやっぱり下町なんでしょうね。内容は理解できなくても新派特有の台詞の言い回しとかは、お蔭で耳についてますね。(^_^;)
iGaさん、こんばんは、
永井荷風は、墨東奇談と短編集しか読んでいないのですが、水辺、とくに川の描写の巧みさが印象に残りました。たとえば墨東奇談の「夜は堀にかけられた正法寺橋、山谷橋・・・橋の灯がわずかに道を照らすばかり」などは、実際に歩いてみると現代にも通じる描写になるほどと感心してしまいます。建物はビルとなり全く違う家並みになっているのに、川は埋められても、かつての川筋の面影を今も強く残しています。なにか地力というか川力のようなものがあるのでしょうか。それにしても”新橋演舞場か明治座辺りで芝居を観ていたのかも知れない”と、さらりと語るiGaさんに脱帽です。こういうセリフは、よほど粋な人で出ないように思いますが・・・。