August 23, 2014

映画・陸軍登戸研究所

1941年(昭和16)7月8日の陸軍による空撮写真である。敗戦後、同じ場所を1947年(昭和22)9月16日に米軍による空撮写真もあるが、写真のクォリティに随分と差がある。現在の明大・生田キャンパスが旧・陸軍登戸研究所の跡地である。

先日、石上さんに借して戴いたDVDの映画・陸軍登戸研究所を観た。2012年に公開された映画は180分と云うことだが、DVDは二枚組で前編が2時間半、後編が1時間半と合計4時間(240分)と劇場版よりも1時間長い。全編を通して登戸研究所に関わった人々の時代の証人としてのインタビューが延々と続く。インタビュアーは批判も肯定もせず登戸研究所で体験したことを聴き出す事に専念している。殺人光線の開発をしていた老人の上機嫌な話しぶりには、嫌悪感さえ抱くが、そうでなければ口を塞いだままだろう。中には棺桶に入るまで沈黙を守ると云う老人もいる。時代の叡知を集めた研究所と云うが、今の時代から傍観すると漫画じみたその研究内容には呆れるばかりだが、自由が奪われ国家に隷属し、何も考えなくなった日本人の姿が其処にある。それは今でも大して変わらない、原発再稼働とワンセットになっているリニア新幹線計画も似たようなものだ。
一つ気になったのは『陸軍登戸研究所の真実』の著者・伴 繁雄の夫人へのインタビュー、病床にありながら最後の力を振り絞って「陸軍登戸研究所の真実 」を書き上げる夫を看病し、死後も...出版まで献身的努力を惜しまなかったと思われるが、夫人への最後のインタビューの時、居間の壁にあった夫の写真が外されていた。積年の思いが….そうさせたようだ。
関連登戸研究所の思い出(ある若手研究員の記録)

Posted by S.Igarashi at August 23, 2014 09:28 PM
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