月に響く笛・耐震偽装 藤田 東吾 (著)
耐震偽装を公表したイーホームズ藤田東吾による所謂告発本である。Amazonから購入したが正規販売でなくマーケットプレイスによる代行販売である。前書きによれば文藝春秋社から刊行することで合意していたそうだが、アパグループによる耐震偽装の記述を削除しなければ文藝春秋社から発行できない、云々の経緯が記されている。そうした耐震偽装に関わることだけでなく、何故に建築の専門教育を受けていない上昇志向の強い青年が検査機関を起業し経営するに至った動機付け知りたかったが、キャッチコピーのようなイーホームズの理念「21世紀の住環境の向上」から伺い知る筈もなく、只そこには文系による理系支配と云う、今日的な社会構図さえ隠れみえてくる。新幹線で野中広務を見掛けた事象を出会いのエピソードに増幅する例からも、彼にとって検査機関の経営は己の社会的発言権を確実にするための布石だったのだろう。今回の別件逮捕に等しい社会的制裁は、逆に彼にとっては政界進出の好機と捉えているのではなかろうか。感傷的すぎる文体も、そうした思惑があってのことかと意地悪オヤジは勘ぐってしまうのだが、、、