この「F.ベアト幕末日本写真集」は予てより横浜に行った時に買おうと思っていたものである。発行元は大桟橋入口のシルクセンターの向かいに有る横浜開港資料館(旧英国総領事館)である。この手の博物館資料としては良く売れ、1987年の初版から2004年には第6刷を数えている隠れたベストセラーだ。それだけ、失われてしまっった日本の風景に対する人々の関心も高いと云うことであろう。実は明石書店からも幕末日本の風景と人びと―フェリックス・ベアト写真集が出版されているが、やはり横浜開港資料館の編集によるもので頁数から考えると内容は同等と思われる。明石書店発行が4200円、横浜開港資料館発行が2100円の価格差は印刷や装丁の違いだけなのだろうか。
--------------------------------------------------------------
内容
写真編
1:横浜とその周辺
2:金沢と鎌倉
3:東海道
4:箱根と富士
5:江戸とその周辺
6:琵琶湖と瀬戸内海
7:長崎
8:風物・風俗
解説編
横浜写真小史--F.ベアトと下岡蓮杖を中心に
--------------------------------------------------------------
F.ベアトの写真は何度も見ているが、この写真集の存在を知ったのは東京都教育委員会発行の歴史の道調査報告書第四集「浜街道」に引用されていた「F.ベアト幕末日本写真集」の鑓水の写真からであった。「F.ベアト幕末日本写真集」で興味深いのは横浜の居留地から外国人が外出できる範囲を示した1867年の「横浜周辺外国人遊歩区域図」である。その範囲は、東が多摩川まで、北が日野から八王子、駒木野(小仏関所)まで、西が大山から丹沢、そして小田原の手前の酒匂川までとなっていた。地図によると、横浜から厚木、宮ケ瀬、津久井、八王子、橋本、原町田から横浜に戻るルートが遠出する際の推奨コースだったようである。因みに橋本を"Ashimoto"と表記してあるのはHを聴き取れなかったのか、英国海軍大尉が編集・作図したとあるが、フランス語のようにHを発音しない習慣があったのだろうか。
わきたさん、おはようございます。
そうです。鑓水の写真はもう一葉、近景を写したものがあり道端に植えられた桑の木が八王子の養蚕の証となってます。
大津、彦根、唐崎付近を写した琵琶湖の写真は四葉あります。
鑓水への道中で写したかも知れない原町田の写真が、まるで黒沢明の映画セットのようで興味深いです。
iGaさん。「2006年元旦」のなかにあるF.ベアトの写真は、こちらの写真集のものだったのですね。目次を確認したら「6:琵琶湖と瀬戸内海」なんてのがありますね!!ぜひ、入手しようと考えています(^0^)。
Posted by: わきた・けんいち at January 3, 2006 02:09 AM