山下洋輔を初めて聴いたのは69年か70年頃のサンケイホールだった。日野皓正のグループに突如乱入してきた山下洋輔一味に会場は騒然、山下を迎え撃つ日野はフリューゲルホーンをポケットトランペットに持ち替え応酬、山下のグガン、グカンとピアノを叩く音を合図に、森山がダバドトーン!とドラムを爆裂、中村はハナモゲラ奏法で山下を援護射撃、日野が目当ての女性達は何事と(・・;)となり、クロネコはタンゴを踊り出すし、赤ん坊は泣くは、坊主は笑うはで、会場はハチャメチャ。
山下は語る「演奏者の悪意の視線を感じることなしにジャズについて何かを語る人間がいるとは思えない。」と、本書は表紙に"my first jazz note"とあるようにジャズピアニスト山下洋輔による最初の著書である。この初版本は1975年に音楽之友社より発行された。その後、徳間書店より文庫化されたが、これも現在は絶版となっている。現在は相倉 久人の編集による新編 風雲ジャズ帖として生まれ変り、平凡社ライブラリーより2004年6月に発行されている。尚、初版本の内容は下記の通りである。
第一部:風雲ジャズ帖 I〜X(1970/1〜1971/12)
第二部:風雲ジャズ雑文篇(1969〜1973)
第三部:風雲ジャズ雑談篇(1970〜1972)
第四部:風雲ジャズ研究篇:ブルーノート研究(1969)
山下は言う「ジャズは音をもって行うボクシングやサッカーのようなものだ。」と、そう即興演奏とスウィングこそジャズの命、そしてジャズプレーヤーこそファンタジスタでなければいけないのだ。退屈な横パスばかり繰り返す予定調和されたジャズなんて聴きたくないのだ。
そうかあ、ちがいましたか。
それでは、「ピアニストを笑え」だったかなあ・・・
これとて、そうとうに曖昧な記憶。すみません。
でも、乱入のエピソード、
すべてを語っていると思いました。
僕がジャズを聴き始めたときには既にそういう空気はほとんどありませんでしたが、当時アルバイトで詰めていた浅川マキの文芸座年越しオールナイトライブは、何が起こるかわからない空気がありました。そのとき、浅川マキはヨーロッパ帰りの近藤等則とコラボレーションやっていました。
その話は聞いたことがないなぁ、
編集者に連れられて二日酔いの頭で新宿コマ劇場の「美空ひばり特別公演」に連れていかれた話はこの本にあるけどね。
(原信夫とシャープ&フラッツが美空ひばりの専属バンドになるのを断ったという話は有名ですが、、、)
山下洋輔が聴いた美空ひばりはどんなアレンジの伴奏だろうが歌の節はヨナ抜き(和音階)で、歌い手も聴き手も伴奏に惑わされずに歌謡曲の節を共有していた、、という印象を語っているだけ。そして、その伴奏はカラオケだったというのが話のオチ。
もしも、そんな話があったとすれば、ひばりにはピアノ伴奏が必要ないということでしょう。
文庫本で持っていました。
美空ひばりの伴奏を急遽やる羽目になった山下洋輔が
ぜんぜん弾けなかった事件、というのはこの本に出ていたんでしたっけ?
相倉久人の別の本だったっけかな?
余談ですがこのエントリーを書いていて「めがてん」と入力すると(・・;)と顔文字に変換されることを知りました。
因みに「目が点になる」は下記のサイトに1987年の流行語でさだまさしが云々で、どおくまんのマンガになんたらとありますが、これは無知からきているガセネタ情報ですね。
http://www.sogakusha.co.jp/newissue/mar2005/4789011917hpb.htm
「目が点」は1970年の谷岡ヤスジの漫画「メッタメタガキ道講座」を由来とする漫画表現、どおくまんのマンガはそれを様式化したものでしょう。それを1970年代前半から山下洋輔が自分のエッセーで使い始めバンド仲間に広がっていった訳でズージャが発生源ですかね。だから、ださまさしは20年近くも遅れていたわけ。
基本的にジャズは遊び(プレイ)ですから、やっぱり自分で演奏するのが一番でしょうね。二十歳そこそこの餓鬼の頃はコルトレーンのようにソプラノサックスが吹けたら気持ちいいだろうな〜とか、マイルスのようにミュートでフェイント掛けて、ざまぁーみろと言いたいとか、妄想してましたが、生憎とその方面の才能がないが為、自分を基準にすることもなく割合と前衛でも何でも受け入れられるのが、逆に幸いしてます。
フリージャズとか前衛音楽とかも、どれだけプレイヤーが遊んでいるかで、オーディエンスがそこに参加できるかの決まるような気もします。
なんて魅力的な会場だったんだろう。いいなぁ。
即興演奏とスウィングこそ、ジャズの命…。
うむむ。
納得であります。
私の場合、この、スウィングが欠落し、即興のみになってしまいます。
ジャズと言うより、フリーミュージック。
FREE IMPROVISED MUSICと言うのが正しいらしいのですが…。
どちらかと言えば、自分で演奏する方が好きです。
ですが、
その演奏が、雑音(ノイズ)と間違えられるのが残念であります。
たむらしげるの世界展は、先週の土曜日に行って来ました。
とても良かったです。
図録も買いました。