昨日の報道ステーションで海岸線から5キロ離れたインドネシア・Banda Acehの街を襲った津波被害を、もしも東京で起きたことを想定して海岸線から5キロの範囲を地図に表わし解説を加えていた。しかし、東京の地形を一切無視した津波被害の想定には唯々呆れるばかりであった。これを非科学的と言わずして何と表現すれば良いのだろう。自然災害に対する被害想定のつもりなのだろうが、それが自然の地形を無視してどうする。
津波の比較史料学
図説・歴史で読み解く東京の地理
東京という都市は世界でも類を見ない複雑な地形の上に造られている。大別すれば下町地区と山の手地区に分けられるが、その山の手地区も、武蔵野台地の東端の山裾を形成する、上野台地、本郷台地、小石川台地、目白台地、牛込台地、麹町台地、赤坂台地、麻布台地等と分かれ、それらの間に神田川、渋谷川、等の河川やその支流が谷を形成している。従って、海岸線からの距離だけで水害を想定することはナンセンスである。常日ごろから谷道、尾根道、切り通しや、坂道等に関心を寄せていれば、地形を無視した想定など考えることもないだろう。それに放送では下町を一切無視したのは何か意図があってのことなのか、それも気になる。