ライナーノーツによれば作曲者の武満徹は「政治的に歌うのではなく、たとえば”愛染かつら”の歌をうたうように歌ってほしい。」と言って関係者に手渡したそうだ。作詞は谷川俊太郎、1965年の「ベトナムの平和を願う市民の集会」に合わせてつくられた歌だ。その一部を引用すると。
死んだ兵士の残したものは
こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった
平和ひとつ残せなかった
歌詞は、男、女、子供、兵士、かれら、歴史、と続く。
武満徹ソングブック・小室等
FOR LIFE / FLCF-3684
僕が70年代から80年代頃に、よくジャズや現代音楽等のコンサートに出掛けていた頃、それらの会場で度々、小室等の姿を見かけた。武満徹も音楽のジャンルにこだわりを持たない人のようだが、小室等も、そう見受けた。
僕は音楽には正直な音楽とそうでない音楽の二つがあるような気がする。もちろん、僕が好きなのは正直な音楽だ。正直を誠実と置き換えても良いが、、
石川セリ/翼/武満徹ポップ・ソングス
DENON/COCY-78624
わたしはベトナムを映画やドキュメントや歌でしか知りません。
はじめてこの歌を聴いたのも「翼」のアルバムでした。でもこの歌詞は本当に心に滲みます。